第12回

すごく面白い魅せ方だな。「スペインで出会ったプロジェクションマッピング」

[15-05-19]

人生2回目のフランスに加え、ポーランド、スペインという初めて訪れる地への渡航。

いわゆる、パフォーマンス修行は自分なりに満足の行く結果が残せたと思っていました。

ただ、それと同時に何か新たな起爆剤が欲しいとも思っていました。

 

 

海外でもそれなりに自信を持ってパフォーマンスができる。

お客さんにも受け入れてもらえている。

この現状は純粋に自分がレベルアップした証拠であり、純粋に嬉しく思います。

ただ、このまま惰性で海外でショーを続けていて本当に良いのだろうか?

何かこれは!というものを掴まないと、折角遠く離れた地まで来ているのに。

 

 

そんな最中前回予告でも書きました、後のボクのパフォーマンス人生に大きな影響を与える、あるすごいものとの出会いがありました。

3カ国をまたぐ旅も終盤を迎え、僕はスペインのタレガという街を訪ねました。

石畳舗装や古い建造物が立ち並び、歴史的・文化的な様相を醸し出していました。

それと同時に、世界的なギターのコンクールが開催されたり、芸術やアートなどに寛容な地でした。

 

 

すっかりと日も落ち夕暮れ時。

僕の目に、幻想的な光景が映し出されました。

 

 

七色の光に照らされた建物が、命を宿したように動き出し、消えては現れまた現れる。

毎分毎分、違った表情を見せるその光景に釘付けになっていました。

僕だけでなく、この空間同じ空気を吸っている人々全てが、ひとつの物語の世界に迷いこんでしまっているかのようでした。

それはまさに、僕が今まさに。

求めているパフォーマンスのカタチと思いました。

 

 

すごく面白い魅せ方だな。

その時の衝撃を今でも憶えています。

 

 

その時はこの素晴らしい幻想的な表現方法についた名前を知りませんでした。

そうです。これが後に日本でも東京駅や、大阪城、東京ディズニーランドなどで行われ有名になったプロジェクションマッピングでした。

きっとこの技術、表現方法は日本でも主流になる!

そんなことを思いながら、名残惜しいこの物語の世界から抜け出し、イチ表現者に戻ってじっくりとこの技法を学ぼうと思いました。

 

 

とんでもないお土産をひょんなことから手にした僕は、帰国後休む暇なくすぐにこの技術をパフォーマンスに取り入れる方法を模索しました。

この素晴らしい技術に僕なりのオリジナリティを加え、投影されるものを様々に試し、さらに僕自身も自らその投影物になる。

今でもやっている「映像の中に僕という主人公を入れる」という様々な作品も、ここから生まれています。

さらには、僕を「投影される側」から「投影する側」に変えて、ロボットの頭にプロジェクターを取り付けて360度どこにでも映像を映し出せるなどの表現方法も作りました。

 

 

プロジェクションマッピング以外も含め、映像を用いたパフォーマンスというものが格段に増えていきました。

単発のパフォーマンスショーや、自身の単独公演の構成などを作っている時も、

などの、映像に関連したことをしている時間の占めるウェートがどんどん大きくなっていきました。

パフォーマーというより、映像クリエイターなんじゃないか(笑)とさえ自身で錯覚しました。

 

 

帰国から映像関連をメインに力を入れて、ちょうど1年近くが経ったある日。

また僕の心の中でポッカリと空いてしまった部分が生まれていることに気が付きました。

 

 

【次回予告】

映像という表現技法を突き詰めれば突き詰めるほどあることが必要だと思い始めました。

次回はそのことをお話したいと思います。

のぞみ

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