第10回 | 疑問が確信に変わった「フランス完結編」 |
[15-03-24] |
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引き続き、フランスでのパフォーマンスについて。
実際にショーをする上で
言葉の壁
というのは、ひとつ大きな課題でした。
とは言え、それは日本にいる時から常に自分の中で意識してきたもので、対策にはスムーズに入ることが出来ました。
もともとボクのパフォーマンスは、ロボットストーリーのネタもそうですし『言葉を使わないでも、見る人に訴えかけられるか?』というのはある意味命題です。
これは前回でも触れた通りです。
それでも
- 身振り手振りや細かい動き
- 挨拶一つにしても、深呼吸をした後にゆっくりする
- 微妙な間や、距離感を意識する
など、本当に細かいところまで、じっくりと練って日々ある意味実験しながらベストなものを探っていました。
ここでもひとつ日本との違いで印象的な事があります。
日本でのストリートショーでは、面白くなかったら途中で帰ってしまうということがよくあります。
みなさん忙しかったり時間の余裕がないのもあるとは思いますが、ある意味で日本のほうがシビアです。
その点、フランスの人たちは、面白くてもそうでなくても、最後まで見て「は」くれます。
でも、それが逆に、このパフォーマンスが、お客さんに伝わったのか伝わらなかったのかが非常にわかりにくいのが辛かったです。
しばらくは手応えが感じられない時期が続きました。
それでもやはりフランスのお客さんは、しっかりとパフォーマンスの意図を感じ取ろうとしてくれているのが本当によく伝わります。
それを頼りに、誤魔化さず真摯に芸に向き合い、より良いパフォーマンスを!という純粋な思いを持つことが、一番の近道だとあらためて認識しました。
また、ストリートや劇場で見た現地のパフォーマーからも非常に多くのことを学ぶことが出来ました。
面白いな!と思えるパフォーマーは
- 構成やネタの内容は緻密に計算されていて
- 他のパフォーマンスなどをよく研究している
というのが、ボクみたいな同業から見た時にひしひしと伝わってきました。
これも非常に勉強になりました。
それと同時に、日本では短期的にお金(収入)にならなかったら、やめてしまう人が出てきてしまいます。
自分から見て、才能があってもショーパフォーマンスの世界から抜けてしまう人を何人も見ているので、それは非常に残念と思っていました。
その点、フランスはお金がどうこうと言うより『芸を極める』という目的や『自身の探究心』を糧に、パフォーマンスを続ける人が多いです。
さらに、それと矛盾するようですが、日本では職業としては足を洗い趣味としてパフォーマンスを続ける人が一定数いる一方。
フランスはパフォーマンス専業(収入が少なくても他の職業を持っていない)の人が割合多いんだなぁ、と不思議に思いました。
現時点では収入は少なくても、ショーを日常的に見れる場所がたくさんあって、さらにそれを見に来るお客さんがショーパフォーマンスにお金を払う、という文化が根付いていることが言えるのだと思います。
さらに、サーカススクールなどのパフォーマンスを教えるような土台もあり、『パフォーマー』というのが、
しっかり認められた職業
という風土が日本よりもはるかに高く、市民権を得ているという点も、日本が非常に遅れを取っている点だな、と考えられさせました。
自分はこの点について、ぜひ解決の一端を担いたいと、帰国後しばらくたってから、色々と活動を進めていくのですがその話はまた追々します。
最後に、フランスでの旅を通じて一番の収穫は自分の中で
- 自分のショーは海外でも本当に伝わるのか?
- どこまで自分の実力派海外に通用するのか?
という疑問が、しっかりと確信に変わったことです。
文化も言葉も違っても、パフォーマンスひとつで、人は繋がれる。それが生で味わえた。
これが実際に実感出来たことは後の自分にとって非常に重要なことになりました。
【次回予告】
このフランスでの経験から「今後も年に1回は海外でパフォーマンスをすることは大きなプラスになる」という思いを持ちました。
そして翌年2011年。今度は同じくヨーロッパの3カ国を回る旅を行いました。
その時のことを書いていこうと思います。
のぞみ
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